妖艶な甘さは、妖精の泉の水で仕込むから?
口に含むと、からみつくように舌を滑り、その後に熟れた果実のような香りが口中に漂う。
まろやかで濃厚な、その味と香りは、食後のリラックスタイムにぴったりマッチする。
ブレンデッド・ウイスキーを飲み慣れた人なら、シーバスリーガルを連想するかもしれない。
それもそのはず、シーバスのメインとして使われている酒が、ストラスアイラなのだ。
シーバスに使われるのは12年物以上。蒸留所が出しているシングル・モルトも12年物だけ。
そのこだわりのもとでウイスキーづくりを続けてきた蒸留所は、1786年創業。
キースという、かつてリネン産業で栄えた町に生まれたストラスアイラ
(創業当時はミルタウンという名称だった)は、スペイサイドで最も古い蒸留所だ。
仕込み水はブルームヒル池から引く。
池には、夜、水の精が現れ、池に近づく人を溺死させるという伝説があり、
これがストラスアイラの隠し味なのだという。ブラックユーモア的な話だが、
このウイスキーの幻想的な味を前にすると、確かに頷けるものがある。