ピノ・ノワール Pinot noir

ブルゴーニュ(Bourgogne)地方の代表的赤ワイン用ブドウ品種。

単に Pinot ともいい、またノワリヤン Noirien、あるいはピノ・フラン Pinot franc とも呼ぶ。

この品種は地方によって呼び名が異なり、

ボージョレ(Beaujolais)地方ではプティ・ブルギニヨン、

アルザス地方ではビュルギュンデール、パリ盆地の東南にあたるヨンヌ県ではプティ・ヴェロ、

フランス中央部ではオーヴェルナ・ノワールあるいはプラン・ノーブルなどと呼んでおり、

それほど広い地域で栽培されている品種である。

濃緑色で、やや厚みがある葉は切れ込みが浅く、葉柄の接続部が竪琴状に切れ込んでいる。

円筒型をした葡萄の房は小型で、丸く、小さな黒色の果粒がびっしりとついているのが特徴。

これでつくったワインは高級アルコール様の独特な香りと酸味があり、

タンニンはカベルネほど多くはないにしても、時間をかけて熟成させる必要があり、

ブルゴーニュ地方に、ボルドー地方にみられるような酒商を育てた原因の一つとも

考えられる。ピノ・ノワールには、その外観、生産性、果粒の色調、

出来たワインの酒質などの異なる変種が数多く知られている。

サン・ジュリアン Saint-Julien

ボルドーの北西44km、ジロンド川の左岸にのぞむオー・メドック郡の村の名。

ここに昔ボルドーを州都とした旧ギュイエンヌ州の知事エペルノンのシャトーがあり、

ジロンド川を航行する船が挨拶のため帆を下げたのでベイシュヴェルBeychevelle

(baisse-voile)のサン・ジュリアンSaint-Julien-de-Beychevelleとも呼ばれている。

自治体名称サン・ジュリアンの赤は、主にカベルネ・ソーヴィニヨン種でつくられ、

やや紫色を帯びた濃紅色の調和のよいワインで、量が少ないため、やや値が高い。

ここには一級シャトーはなく、

シャトー・デュクリュ・ボーカイユ、シャトー・グリュオ・ラローズ、シャトー・レオヴィル・バルトン、

シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ、シャトー・レオヴィル・ポワフレが二級、

他に三級畑が2、四級畑が5ある。

デカンテ decanter

デカント dedant。

ワインを飲む前に貯蔵中に出た澱と分けるため、上澄みをカラフ(carafe)に移すこと。

この仕事は、ワインを供する数時間前に行う。

そのため瓶は架台かパニエにあらかじめねかせて澱を瓶底の片隅に沈めておき、

これを舞い上がらせないように注意しながら、コルクを抜いて、カラフにワインを移す。

はじめの澱が瓶の口もとに近くに上がってきたところでやめる。

ドメーヌ

領地、所有地、所有権。1789年7月バスチーユ監獄開放に続いて

8月4日に開かれた憲法会議で貴族の代表は彼らの領主権の廃止に

同意した。しかし貴族が無償で小作農地を与えたわけでなく

農民は貴族から所有権を購入しなければならなかった

その結果ブルゴーニュ地方のブドウ畑の所有権の大部分は

農民たちや法人によって共同購入された

しかしわずかではあるがぶどう園を個人で所有し栽培から醸造

瓶詰めまでの作業を一貫している醸造元もありそのワインの

ラベルにはミザンブテイユオドメーヌ、ミゾードメーヌと書かれている

ボルドー地方やプロヴァンス地方ではドメーヌはシャトーと同じ

意味に用いられているフランスでは1930年の法律でclos、シャトーとともに

ドメーヌもこれをラベルにうたうことが禁止されたが1942年、48年の法改正

で原産地名称権をもつワインでその名に値する実在の農業経営者の生産する

物に限りdomaineと表記することができるようになった。

 

ロマネ・コンティ

ブルゴーニュのコートドニュイ地区に属するヴォーヌロマネ村にある1.8haほどの

垣のある屋敷のうちグランクリュに相当する畑の名。ディジョンの南南西約19Km

のところにある。13世紀より17世紀までサンヴィヴァン修道院の修道士たちの所有地

であったが1625年に手放され1720年クローヌウブール家の手に渡ったが、ここを

欲しがったルイ15世の愛妾ポンパドール公爵夫人と張り合ったコンティ王子が大金を

積んで1760年に手に入れ1789年のフランス革命まで所有していた

ロマネとコンティを並べ書きするのはその為である

1795年パリの植木屋ニコラデフェールにより11万2000フランで買い取られ

その後数人の人の手を経て現在はロマネコンティ社に所属している。

第二次世界大戦前までは接木栽培をしないフランスで最後のブドウ畑であったが

戦中の硫化炭素の欠乏でフィロクセラにより潰滅し植えなおした葡萄で初収穫が

できたのは1952年のことであり以後毎年5klほどの収穫を続けている

かつての名声と数奇な過去によってロマネコンティは今でも手に入りにくいワインとして有名である

ナーエ

西ドイツのワイン用ブドウの指定栽培地域の1つ、11の指定栽培地域の6番目に位置してい

る。ビンゲンの町でライン川と合流するナーエ川に沿いビンゲンから上流へ約15キロ遡った

右岸の町クロイツナッハの周辺とそのまた10キロ上流の左岸の町シュロスベッケルハイム

の周辺の2ヶ所がナーエのベライヒ(地区)に指定されている。ここで栽培されている99パーセ

ント以上が白ワイン用で品種としてはミュラートゥルガウ種が約30パーセント、リースリング種

シルヴァーナ種がそれぞれ約23-24パーセントでこれら3品種が主流をしめているが

最近ではショイレーベ種、ケルナー種などの新品種も増えている。クロイツナッハ地区の

砂利質土壌からはフルーティーでエレガントなワインが生まれバートミュンスター

ニーダーハウゼンを含むシュロスベッケルハイム地区の火山岩質土壌からは

新鮮さと深みを兼備したワインが醸されるのでナーエのワインはラインガウ的な特徴と

モーゼル的な良さの両面を持っているといわれる。このナーエ地域にもガイゼンハイム

国立ワイン醸造研究所と同様な研究所がニーダーハウゼンにある。

メルロー

ボルドー地方の赤ワイン用ぶどうの品種名。ロートエガロンヌ県、ジロンド県、ドルドーニュ県

など比較的限られた地域で栽培されている。カベルネソーヴィニョン種のワインと調合して

口当たりにふくらみをあたえたり、マルヴェック種のワインとブレンドしてこくを補強するなど

良質な品種のわりにブレンド用に使われることが多い。起源についてはあまり知られていない

がボルドー地方で栽培され始めたのは18世紀末になってからで、ボルドーの町に近いラブレ

ードの城に生まれた思想家モンテスキューはカベルネなどのブドウについての記述を残してい

るが、メルローをしらなかったようである。メルローという名前はプティラフィットによれば

果粒の色が似ているところからプティメルルという小鳥の名が訛ったものだという。

Delaware デラウェア

葡萄の品種名。

実生、すなわち種子から生えた苗で偶然みつかったといわれる欧州系と米国系葡萄の雑種。

1872年、フランスからが国へ輸入された。

房は円筒系で顆粒は小さく密着し、果皮は淡黄色。

我が国の葡萄生産量の40%以上を占めるが、できたワインは酸化しやすく、熟成による付加価値向上も望めないため、ワイン用にはその約10%程度しか使われず、ほとんどが生食用にまわされている。

イタリア ヴェニ

イタリアは1981〜87年の平均葡萄収穫量でフランスの685万klを超える733万klを生産する世界第一のワイン生産国である。

1987年、人口一人あたりワインを79㍑飲んで、フランスの75㍑、ポルトガルの64㍑を超えて世界第一位のワイン消費国を誇っている。

葡萄栽培の歴史も古く、古代ギリシア人はイタリア半島をさしてエノトリーア・テルス、すなわち(ワインの地)と呼んだ。

雄弁家で知られるキケロは自宅の中2階に何種類ものワインを貯えて楽しみ、シーザーが執政官になったとき、披露宴に出すワインを選ぶのに苦労したという話も残っている。

ローマがゲルマニウム、(ライン左岸からエルベ川にかけての地域)、ガリア(現在のフランス)、ヒスパニア(現在のスペイン)などの国々を征服したときに、兵士は戦いのあと武器をおいて葡萄の苗木を植え、その地に葡萄畑とワイン醸造技術を残していった。

南北に長いイタリアでは、気候条件や風土の違いから赤用、白用合わせて300種以上の品種の葡萄が栽培され、変化に富んだワインが造られている。

赤ワイン用品種ではエミーリア・ロマーニャ、トスカーナなどの州で栽培されるサンジョヴェーゼ種、ピエモンテ、ロンバルディーア、ヴェーネトなどイタリア北部の各州のバルベーラ種、マルケ、アブルッツォ、プーリアなど中部から南部の各州で栽培されているモンテプルチアーノ種などがあり、また白ワイン用品種としてはロンバルディーア、ヴェーネト、トスカーナ、マルケ、ウンブリア、ラツィオ、カラーブリア、プーリア、シチーリアと、北から南までの各州で栽培されているトレッビアーノ種、マルヴァジーア種などが多く使われている。

ただし同じ品種でも産地により、気候や土壌が違うので、できたワインの風味も当然異なってくる。例えば同じサンジョヴェーゼ種の赤ワインでもエミーリア・ロマーニャ州では、ラツィオ州ではサンジョヴェーゼ・ディ・アプリーリアというように原料葡萄の品種名のあとに地名を付記してワインの銘柄としている例えが多いのはそのためである。

イタリア・ワインのラベルには次にあげるような表示がよく見られる。

1、色調に関する表示、白がビアンコ、ロゼがロザートあるいはキアレット、赤がロッソあるいはあるいはスクーロ。

2,甘辛の表示、辛口ワインがセッコ、中辛口がアッボッカート、中甘口がアマービレ、甘口ワインがドルチェあるいはカツネッリーノ。

3,醸造法に関する表示、クラッシコ(特定の古くからある葡萄畑の武道で作ったもの)、パッシートまたはレチョート(陰干しした葡萄でつくったもの)、シェルト、またはセレツィオナート(厳選した葡萄を使い、規定のアルコール濃度に達しているもの)、リゼルヴァ(法で定めた最低熟成期間を超えたもの)、スペリオーレ(ワインごとに定められたアルコール濃度の規定に達したもの)。

Hattenheim ハッテンハイム

ドイツのラインガウ地方の村の名。

12世紀、ここにクロスター・エーバーバッハが建てられてから、これを中心として葡萄栽培が始まった。

昔、自家用ワインのうち最高級のものをカビネットと呼んでおり、カビネットという言葉はここで生まれた。

ただしドイツのワイン法で定められているKabinettとは無関係である。

現在修道院の跡は国立ワイン醸造管理場に利用され、修道院時代、世にもてはやされたシュタインベルガー名をうたった高級白ワインが作られている。