オールド・パーのボトルを前にグラスを傾け、比較的ピート香が強く、
コクのある深い味わいを楽しんでいると、何となく懐かしいムードに浸ってくる。
ボトルの渋い色のせいもあるが、かつて日本ではオールド・パーが
洋酒の代名詞のような時代があったからかもしれない。
実際、日本に初めて入ったウイスキーが、オールド・パーだったと言われる。
1871年(明治4年)に出発した岩倉具視を特命全権大使とする欧米視察団が、
2年後に帰国した時に、オールド・パーを数ケース持ち帰ったという。
年代からいって、まだオールド・パーが誕生したばかりのころだ。
そうした縁ががあるのか、オールド・パーの総売り上げの約65パーセントは、
日本と東南アジアの国々で占めている。
オールド・パーとは、152歳まで生きたと言われる農夫トーマス・パーのこと。
彼にあやかってオールド・パーを生み出したジェームスとサミュエル兄弟の会社、
グリーンリース社の趣意書には、10人の王の時代を生き抜いたトーマスのように、
「時代がどんなに変わろうとも変わらぬ品質を約束する」と書かれている。