欧州のブドウ畑を絶滅させたフィロキセラ

1850年代、シャンパーニュだけでなくヨーロッパ全土のブドウ畑が、とある虫によって壊滅的な状態に
追い込まれてしまいました。

その虫とは体長たった数ミリの”フィロキセラ(ブドウネアブラムシ)”。これが、ブドウの根から樹液を吸って成長し、気を枯らしてしまうというやっかい極まりない害虫で、免疫のなかったヨーロッパ中のブドウ畑は、あっという間に絶滅状態になってしまったのです。

このフィロキセラがどこからやって来たかと言うと、研究用に輸出されたアメリカ産の苗木に付着していたのです。

フィロキセラショックとも言うべき大惨事を経て、この寄生虫に耐性のある北アメリカ東部及び中部のブドウを台木とし、ヨーロッパ原産のブドウに接木するという方法で、危機を乗り超えました。

ヨーロッパのワイン史を語る上で避けては通れない悲劇として、そして大きな家訓として、現在でも語り継がれている出来事です。