イタリアは1981〜87年の平均葡萄収穫量でフランスの685万klを超える733万klを生産する世界第一のワイン生産国である。
1987年、人口一人あたりワインを79㍑飲んで、フランスの75㍑、ポルトガルの64㍑を超えて世界第一位のワイン消費国を誇っている。
葡萄栽培の歴史も古く、古代ギリシア人はイタリア半島をさしてエノトリーア・テルス、すなわち(ワインの地)と呼んだ。
雄弁家で知られるキケロは自宅の中2階に何種類ものワインを貯えて楽しみ、シーザーが執政官になったとき、披露宴に出すワインを選ぶのに苦労したという話も残っている。
ローマがゲルマニウム、(ライン左岸からエルベ川にかけての地域)、ガリア(現在のフランス)、ヒスパニア(現在のスペイン)などの国々を征服したときに、兵士は戦いのあと武器をおいて葡萄の苗木を植え、その地に葡萄畑とワイン醸造技術を残していった。
南北に長いイタリアでは、気候条件や風土の違いから赤用、白用合わせて300種以上の品種の葡萄が栽培され、変化に富んだワインが造られている。
赤ワイン用品種ではエミーリア・ロマーニャ、トスカーナなどの州で栽培されるサンジョヴェーゼ種、ピエモンテ、ロンバルディーア、ヴェーネトなどイタリア北部の各州のバルベーラ種、マルケ、アブルッツォ、プーリアなど中部から南部の各州で栽培されているモンテプルチアーノ種などがあり、また白ワイン用品種としてはロンバルディーア、ヴェーネト、トスカーナ、マルケ、ウンブリア、ラツィオ、カラーブリア、プーリア、シチーリアと、北から南までの各州で栽培されているトレッビアーノ種、マルヴァジーア種などが多く使われている。
ただし同じ品種でも産地により、気候や土壌が違うので、できたワインの風味も当然異なってくる。例えば同じサンジョヴェーゼ種の赤ワインでもエミーリア・ロマーニャ州では、ラツィオ州ではサンジョヴェーゼ・ディ・アプリーリアというように原料葡萄の品種名のあとに地名を付記してワインの銘柄としている例えが多いのはそのためである。
イタリア・ワインのラベルには次にあげるような表示がよく見られる。
1、色調に関する表示、白がビアンコ、ロゼがロザートあるいはキアレット、赤がロッソあるいはあるいはスクーロ。
2,甘辛の表示、辛口ワインがセッコ、中辛口がアッボッカート、中甘口がアマービレ、甘口ワインがドルチェあるいはカツネッリーノ。
3,醸造法に関する表示、クラッシコ(特定の古くからある葡萄畑の武道で作ったもの)、パッシートまたはレチョート(陰干しした葡萄でつくったもの)、シェルト、またはセレツィオナート(厳選した葡萄を使い、規定のアルコール濃度に達しているもの)、リゼルヴァ(法で定めた最低熟成期間を超えたもの)、スペリオーレ(ワインごとに定められたアルコール濃度の規定に達したもの)。