現在の主流、辛口(ブリュット)を生み出したマダム・ポメリー。
芸術を造るようにシャンパンを造る精神は今も受け継がれている。
大手メゾンが軒を連ねるランスでも、ひときわ目を引くポメリー。
エリザベス王朝様式の優雅な社屋、ローマ時代からの巨大な地下カーヴ、
アール・ヌーヴォーを代表する芸術家エミール・ガレの装飾が施された大樽と、
雄大な敷地のそこここに、華やかな業績を物語る痕跡を見ることが出来ます。
創業は1836年。その後、1856年にルイ・A・ポメリーの参加によりポメリー・エ・グレノと社名を変え、
更にルイの死後、事業を引き継いだマダム・ポメリーにより、同社は大きく繁栄することになります。
当時、シャンパンはまだ甘口でデザート的に楽しまれることが殆どでした。ところが英国では辛口が
好まれていることに着目したマダム・ポメリーは、辛口(ブリュット)を考案し、販売したのです。
食前酒としてだけでなく、食事にも合わせられる辛口シャンパンは大人気となり、
この「ブリュット・ナチュール(現在のブリュット・ロワイヤルの元祖)」のお蔭で
英国でのシャンパンの消費量が一気に3倍にも跳ね上がったと言います。
「シャンパンを造ることは芸術を造ること」という言葉を残し、シャンパン造りに情熱と、
大きな功績を残したマダム・ポメリーの精神は、今でもポメリーとシャンパーニュの至る所に息づいています。