カビの生えたブドウから貴腐ワインは生まれる。
貴腐ワインは、カビの生えたブドウから造られる珍しいワインです。
但し、カビと言っても特別なもので、普通のカビとは違います。
芳香が豊かで、とても甘口な貴腐ワインの材料となる貴腐ブドウは、
ポトリティス・シネレア菌という特殊な菌によって生まれます。
この菌は、未熟な果実や果梗につくと腐敗を起こすのですが、
成熟した果実につくと貴腐ブドウを造りだすというとても不思議な菌なのです。
ポトリティス・シネレア菌がブドウにつくと、果皮の表面からロウ質が失われていきます。
そうすると、果実の中の水分が、蒸発によってどんどん失われます。
しかし、この菌は果実に含まれる唐を分解しないので、ブドウの糖度は上昇します。
これを貴腐と言います。貴腐ブドウは、どこでも収穫されるわけではありません。
ボルドー地方のソーテルヌ地区やドイツのライン地方、モーゼル地方、
そして日本の山梨などごく限られた場所でしか収穫できないのです。
貴腐ブドウから造られる貴腐ワインは、デザート・ワインとして、とても愛されているのです。
★世界三大貴腐ワインの産地と言えば、
フランスの「ソーテルヌ」、ハンガリーの「トカイ」、ドイツの「トロッケンベーレンアウスレーゼ」。
その中でも各産地の銘柄で言うなら、
フランスは「シャトー・ディケム」、ハンガリーは「トカイ・エッセンシア」、
ドイツは「トロッケン・ベーレンアウスレーゼ」となります。