ナポレオン

①ブランデーの熟年年数を示す符号として、ラベルにうたわれているナポレオン1世の名。なぜ彼の名だけがとくにブランデーに使われているのか、その理由についてはいろいろ言い伝えがある。クールヴォアジェの本社は、現在シャラント川の右岸の町ジャルナックにある。

1790年に会社を設立したエマニュエル・クールヴォアジェは友人であったナポレオンに、自社のオー・ド・ヴィを献上していた。そこでナポレオンのシルエットを製品に貼付し、その名をうたうようになったという。

②ナポレオンが1805年、アウステルリッツでオーストリアとロシアの連合軍を撃破した戦勝の宴に、近衛の狙撃手といて従軍していたクロワゼは、ナポレオンを讃え、水筒に入れた自家製のオー・ド・ヴィにその名をうたって戦友たちに振舞った。

それを味わってみたナポレオンが余の名に恥じぬ素晴らしいオー・ド・ヴィだといったという。

これを誇りにしてクロワゼは、その年からコニャックで本格的なオー・ド・ヴィの製造を始め、ナポレオンの名を銘酒にうたうことにしたという。

③1811年、ナポレオンに待望の男子が誕生した。

この年はまた葡萄も豊作で、これを記念してこの年に蒸留したコニャックを、ナポレオンと呼ぶことにしたという説もある。

1726年にはコニャックの名は、オー・ド・ヴィの中でも評判となっており、アングーモア州の州都アングレームの初審裁判所刑事代官ジェルヴェが1730年にオー・ド・ヴィを飲むなんて聞いていなかったのでそれが当たり前になっていることに驚いているほど、18世紀はオー・ド・ヴィが普及し、コニャックが伸びた時代であった。それと時期的にナポレオンの時代と重なって、いろいろな伝説が生まれたのであろう。

法律的には、熟年年数が5年をこえたアルマニャック

6年をこえたコニャック及びカルヴァドスならナポレオンと表示でき、またコニャック、アルマニャックなどAOCで規制されている地域外のいわゆるフレンチブランデーについては別に表示規制もないので、これらのなかには熟年年数5年以下の若いナポレオンも見られる。

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